<< 2004 Vol. 3 (2004/02/13) >>

Pooka


1. Pooka
2. The Joker
3. Mars Bar (Call For Gary!)
4. Tics
5. Kahlua Blues
6. News On The March
7. 1. Lesson In Violin
8. Pooka Soundtrack

POOKA

All Music by Lars Horntveth

Production and sound by Jørgen Træen

POOKA

Lars Horntveth - Bb cl, bcl, ss, ts, ac-g, el-g, b, p, key, vln

with this great supporting cast:
Mathias Eick - double-b
1. violin - Seiki Ueno
2. violin - Rebecca Cherry
3. violin - Siv Grønlie
4. violin - Annette Myking
1. viola - Hans Gunnar Hagen
2. viola - Michiel Westhof
1. cello - Siri Hilmen
2. cello - Bodil Erdal
Jørgen Træen - electronics, Korgs MS-20

POOKA

Orchestral contractor - Ole Tobias Lindeberg

Orchestral arranged and conducted by Lars Horntveth
Edited by Jørgen Træen and Lars Horntveth

Programming by Jørgen Træen and Lars Horntveth
Programminig on track 5 and additional programming on track 4 by Martin Horntveth

Recorded and mixed by Jørgen Træen in Duper Studio, Bergen 01.11.03-12.11.03
Recording has also been done in Pooka studio September - November 2003 by Lars Horntveth

POOKA

Recording session photography by Marte Rognerud
Design by Kim Hiorthøy

POOKA

2004; Smalltown Supersound; STS079
»POOKA«
Lars Horntveth


Lars Horntveth に関するいくつかのことがら。

■ ラーシュ・ホーントヴェット。1980年生まれ、現在23歳。1994年、14歳の時に、6つ上の姉 Line と3つ上の兄 Martin とともに 14人編成のバンド Jævla Jazzist を結成、後に Jaga Jazzist と改名、現在は10人編成。
■ ちょうど1年前、オスロで会った Lars Horntveth はごくごく普通の若いお兄ちゃんといった感じで、けれど落ち着いた雰囲気のところもある人だった。Jaga Jazzist のファーストアルバムについて、丁寧に隅から隅まで説明してくれた。
■ Jaga Jazzist 以外に、多くのレコーディングに参加している。主としてロック・ポップス系が多い。
■ ノルウェーのアーティストでは Jon Balke に大きな影響を受けた。
■ Jaga Jazzist のメインソングライターであり、Jaga Jazzist のたくさんある音要素の中で最もオイシイ音の1つである「バスクラリネット」の主でもある。それからこれはライブを見て初めて分かったのだけれど、3作目 "The Stix" で大量に投入されたギターの音、例えば "I Could Have Killed Him In The Sauna" の中盤のジャラン!というあのアコースティックギターは実は彼によるものだ。

POOKA

Pooka に関するいくつかのことがら。

■ 1950年のアメリカ映画 "Harvey" がモチーフになっている。James Stewart 演じる主人公 Elwood P. Dowd にしか見えない妖精(pooka) が Harvey なる6フィート(180センチ)のウサギ。
>> 映画 "Harvey" の予告編
>> ノルウェーの日刊紙 Dagbladet の記事(Lars が James Stewart に扮する写真あり)

POOKA

Lars Horntveth の初ソロアルバムは、ウサギといえばウサギのような気もする、やさしいメロディーのタイトルトラックで始まる。パーカッシブなストリングスも、こぽこぽいうエレクトロニクスもかわいい雰囲気だ。

2曲目は弦楽器を全部管楽器に置き換えればそのまま Jaga Jazzist の曲になりそうなアップテンポな曲。このアルバムからのファーストシングルとなる。

ストリングスから始まる3曲目は、そのストリングスの柔らかい流れと柔らかいバスクラリネットが絡む映像的な曲。

4曲目は、 Jaga Jazzist のプロデューサーでもある Jørgen Træen によるエレクトロニクスがストリングスの上に散りばめられた、クールなグルーブ感をもつ曲。Four Tet によるリミックスバージョンが "The Joker" のシングルに収録される。

5曲目は3拍子の、このアルバムの中では一番強い、けれどゆったりしたビートを持つ曲。そのビートの主はお兄さんの Martin。どこか幻想的な雰囲気を湛えている。

このアルバムに起承転結があるとすると「転」に当たるのが6曲目、この曲で雰囲気が変わる。ドラマチックなストリングスの間をエレクトロニクスによる音が無邪気に跳ねる。

短く挟まれる7曲目はアコースティックギターがジャラジャラとなるこのアルバムでは異色の曲。「動」の1曲。

そして最後の "Pooka Soundtrack"。このアルバムはここへ終着するためにある。Lars Horntveth はアコースティックギターを爪弾き、それを Jaga Jazzist の朋友 Mathias Eick の静かなダブルベースがサポートする。ストリングスが優雅に、美しく悲しいメロディーを描き出す。この8分の曲にはドラマがあり、映像がある。やがてギターもベースも消え、そしてヴァイオリンの最後の音が消えた後はまるでエンドロールが終わって明るくなった映画館のようだ。

POOKA

このアルバムで、Lars Horntveth は多くの楽器を自らこなし、そのマルチプレイヤーぶりを発揮している。けれど、それよりももっと、作曲家として彼の音楽を表現している。それを表現する手段として、恐らく敢えて全く Jaga Jazzist と異なる編成を選んだ − 8人編成のストリングス隊とダブルベースと彼自身の合計10人はちょうど Jaga Jazzist を裏返したかのようだ。

全編アコースティックな最終トラックなど、一瞬この23歳の青年は映画音楽の巨匠に迫ろうとしているかのようだ。一方で、23歳という年齢を思わせるエレクトロニクスの使い方も見せる。ストリングスとエレクトロニクスは、彼にとってはそんなにかけ離れた音源ではないのかもしれない。

このアルバムをCDショップの店頭に置く時、どの場所が相応しいだろう?それは Jaga Jazzist の時以上に難しい問いだ。クラシックなのか、ポップスなのか、エレクトロニカなのか。

架空のサウンドトラックのように作られたこのアルバムは、私にとっていつもそこで鳴っていて欲しい音楽だ。ウサギの姿をした素敵な妖精がいつもそこにいてくれるように…。
>> more about POOKA @ www.smalltownsupsersound.com
>> listen to POOKA @ www.sts.musiconline.no

scrapbook discs index / home