<< 2005 Vol. 1 (2005/03/05) >>

Jóhann Jóhannsson
Icelandic composer, piano / keyboard player


Virðulegu Forsetar
- Jóhann Jóhannsson
Part 1
Part 2
Part 3
Part 4

Performed by the Caput Ensemble (4x trumpets, 4x horns and 1x tuba) conducted by Guðni Franzson
with:
Guðmundur Sigurðsson (org)
Hörður Bragason (org)
Skuli Sverrisson (b, electronics)
Matthias M.D. Hemstock (grockenspiel, bells, electronics)
Jóhann Jóhannsson (p, electronics)

written, arranged and produced by Jóhann Jóhannsson
recorded in Hallgrímskirkja by Sveinn Kjartansson, January 2004


2004 Touch TO:64


>> Jóhann Jóhannsson
>> Touch
アイスランド出身の Jóhann Jóhannsson (b. 1969) は色々な顔を持っている。作曲家、鍵盤楽器奏者、レーベル/シンクタンク Kitchen Motors の共同オーナー等々。

彼のソロ名義としては通算3作目となる(イギリス Touch へは2作目)"Virðulegu Forsetar" は通常CDとDVD-Audioの2枚組でリリースされた。その理由は音を聴けばすぐに分かる。

音楽を演奏するのはトランペット×4、ホルン×4、それにチューバ奏者1人の総勢9人から成る Caput Ensemble 、それにオルガン2人(そのうちの1人 Hörður Bragason は Jóhann Jóhannsson のグループ Apparat Organ Quartet のメンバーでもある)、アイスランドジャズきっての名手 Skuli Sverrisson と Matthias M.D. Hemstock 、そして Jóhann Jóhannsson 本人の合計14人。

この音楽が初演されたのは2003年、レイキャヴィーク市内のハトルグリム教会 (Hallgrímskirkja, 写真)、レコーディングも翌2004年1月に同じ場所で行われている。高い建物がないこの小さな街で、そのパイプオルガンを彷彿とさせる外観と相まって街の1つの顔とも言える建物だ。この教会はまずその音響が素晴らしいことで Jóhann Jóhannsson は彼のソロでよく使うそうだが、もう1つ、この空間が内省的な空間であることも理由に挙げている。その初演の際はヘリウムガスが入れられたブルーの風船があらかじめ教会の天井一杯に飛ばされ、音楽と共に観客の上へ落ちてくるという演出が加えられたそうだ。

65分のこの作品は一応 Part 1〜4に分けられているが切れ目は全くなく、トータルで1つの音楽になっている。とてもシンプルで短いテーマが1つ。その宗教音楽にも似た幸福な響きのゆっくりしたテーマは、テンポと楽器編成をわずかずつ変化させながら何度も繰り返される。Matthias M.D. Hemstock の叩くベルの音がその効果をいっそう高めている。

そのアコースティックな編成による美しい音楽にエレクトロニクスを織り込むのが Jóhann Jóhannsson の得意とするとことろであり、またどこかアイスランド的、つまり地の果てのようなこの国の特異な風土や風習などを思わせる要素でもある。ホーンセクションが丁寧にテーマを繰り返す底のほうで不思議な音が鳴り続ける。CDという録音媒体や最終的にその音を認識する人間の耳の限界に挑むような重低音だ。大音量にするまでもなく、この作品を聴いていると頭がくらくらするような、あたりの空気が振動するような感覚を覚える。その重低音は一定のものではなく、火山国であるアイスランドの大地の呼吸を取り込んだような揺れと歪みを伴う。

5.1サラウンド DVD-Audio はもちろん、この教会の音響を出来る限り忠実に再現するためのものだ。個人的には CD と DVD-Audio が別売りでないところがなかなか、などと思うのだけれど、確かにこの CD を聴けば、それよりさらに原音に忠実なはずのサラウンド DVD-A を聴きたくなる。この音楽の持つ魔力と世界に望んで吸い込まれようとするかのように。

Dís
- Jóhann Jóhannsson
Jóhann Jóhannsson (p, org, g, b, electronics?)
Viðar Hákon Gíslason (b, g, electronics?)
Þorvaldur Gröndal (ds on #11, 13)
Þorgeir Guðmundsson (ds on # 5, 6)
Orri Jónsson (ds on #2)
Hilmar Jensson (g on #13)
Ragnheiður Gröndal (vo on #13)

soundtrack for the film "Dís" by Silja Hauksdóttir
soundtrack by Jóhann Jóhannsson
lyrics of "Dís" by Braga Valdimar Skláson and Ragnar Kjartansson
recorded by Viðar Hákon Gíslason and Jóhann Jóhannsson


2004; 12 Tónar; 12T004
01. Bankok Norðursins
02. 10 Rokkstig
03. Sumavéi
04. Gúmmískór
05. Já, Hemmi Minn
06. Efripídes Og Neðripídel
07. Jarðaför
08. Þynnkudagur
09. Ruslpóstur
10. Ljósrit
11. Flugeldar
12. Ónefnt
13. Hótel Borg
14. Dís
15. Flugeldar II
"Dís" はアイスランドの女流映画監督 Silja Hauksdóttir の同名映画のサウンドトラックであり、Jóhann Jóhannsson のソロ2作目となる作品。タイトルはアイスランド語で「妖精」の意。映画の内容はレイキャヴィークの現代の女性の生活を描いたものとのこと。リリース元はレイキャヴィーク市内の有名なレコードショップ 12 Tónar の独自レーベル。

Touch レーベルからリリースされた Jóhann Jóhannsson の2作とはガラリと雰囲気が異なり、むしろ彼のバンド Apparat Organ Quartet の雰囲気に通じるものがある。あまりにベタなエレクトリック・ロック・ビートの曲にはさすがにハラハラさせられるが、同じモチーフをアイスランド風のちょっとベタでキュートなエレクトロニカ風に仕立てた曲だとなぜか受け入れられてしまう。

それにしてもバラエティーに富んだ作品だ。サウンドトラックだからと言われれば納得できる部分もあるが、80年代風ロックあり、70年代風エレポップあり、エレクトロニカあり、そうかと思えば Jóhann Jóhannsson が弾くピアノがとても美しいいかにもサウンドトラックな曲もある。

インタビューで Jóhann Jóhannsson が面白いことを語っている。1969年生まれの彼は最初のビデオ世代に属する、と自らのバックグラウンドを説明する。しかも彼が育った場所はアイスランドで、大きなスクリーンで名画や独立系の映画を見れる環境ではなかった。彼はB級映画やスプラッター、それに古いサイレント映画などをビデオで見て育った。そういうことで彼にとって映画音楽は特別なもので、こだわりがあるのだという。このアルバムのいかにもチープな音使いもそんな彼の発言を聞くと納得がいく。

(※ アルバムのクレジットでは女性シンガー Ragnheiður Gröndal のアイスランド語の歌が入るのと Hilmar Jensson のギターが入るのは #13 となっているが、実際はいずれも #14 のタイトルトラック。?)

Apparat Organ Quartet
- Apparat Organ Quartet
Úlfur Eldjárn (org)
Hörður Bragason (org)
Sighvatur Ómar Kristinsson (org)
Jóhann Jóhannsson (org)
Arnar Geir Ómarsson (ds)

Adda Ingólfsdóttir (vo on #3, 6)

produced by Jóhann Jóhannsson and Apparat Organ Quartet
all songs written & arranged by Apparat Organ Quartet


2002; TMT Entertainment; TMT11cd


>> Thulemusik
>> Iceland Airwaves 2002

1. Romantika
2. Stereo Rock & Roll
3. The Anguish Of Space-Time
4. Cruise Control
5. Ondula Nova
6. Global Capital
7. Seremonia
8. Charlie Tango #2
9. Sofðu Litla Vél
カルテットと言っているが、実際はクインテットで、カルテットなのはオルガンの部分。Jóhann Jóhannsson 以外では Músíkvatur こと Sighvatur Ómar Kristinsson が Múm とのコラボレーションなどで知られる。

Jóhann Jóhannsson が関わる Kitchen Motors の即興演奏コンサートのために結成されたバンドで、Steve Reich の "Four Organs" のようにミニマルなオルガンアンサンブルになるはずだったそうだが、結局全く異なる方向性に展開してしまう。

例えば "Stereo Rock & Roll" という曲では、チープなエレクトリックな音にのって、機械を通したニセモノロボット風ボーカルが「ステレオロックンロール〜」と歌う。この曲に代表されるように、Apparat Organ Quartet の音楽は80年代ロックからエレクトリックポップス、一昔前のヘビーメタルなどの間を行き来し、その様はまるでパロディーのようだがもちろんそうではない。ボーカルとドラム以外は全部オルガンによる音で、極めてアナログな手触りを持っているのが現在世の中に溢れているデジタルな音と似ているのに決定的に違う点だ。

最初にこの時代遅れと言ってもいいほどの音を聴いた時はかなりショックを受けたが、結構ハマる魅力を持っている。

とにかくヘンなバンドだ − これは正直な感想で、同時に結構な褒め言葉でもある。

Englabörn
- Jóhann Jóhannsson
Eþos String Quartet:
Auður Hafsteinsdóttir,
Gréta Guðnadóttir,
Guðmundur Kristmundsson
and Bryndís Halla Gylfadóttir.
Mathías M.D. Hemstock (per)
Jóhann Jóhannsson (p, grockenspiel, harmonium, org, electronics)

written, arranged and produced by Johann Johannsson

originally written for the stage play by Hávar Sigurjónsson


2002; Touch; TO:52
1. Odi et Amo
2. Englabörn
3. Jói & Karen
4. Þetta gerist á bestu bæjum
5. Sálfræðingur
6. "Ég sleppi þér aldrei"
7. Sálfræðingur deyr
8. Bað
9. "Ég heyrði allt án þess aðhlusta"
10. Karen býr til engil
11. Englabörn - tilbrigði
12. "Ég átti Gráa æsku"
13. Krókódíll
14. "Ef ég hefði aldrei..."
15. ...eing og venjulegt fólk
16. Odi et Amo - bis

>> see discs / scrapbook 2002 vol. 13

※ インタビューは Iceland Review 誌 Vol 44 (2004年第3号) から引用しました。

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