<< 2005 Vol. 4 (2005/10/17) >>
| ULTRALYD Kjetil Brandsdal (el-b) / Frode Gjerstad (as, cl) / Anders Hana (el-g) / Morten Olsen (ds) |
|
![]() Ultralyd "Ultralyd" Ultralyd 1-6 All music by Kjetil Bransdal, Frode Gjerstad, Anders Hana and Morten Olsen Recorded by Frode Gjerstad 18-4-2004 Mixed by Anders Hana and Frode Gjerstad 2004; FMR Records; FMRCD154-i0704 |
オスロ、ベルゲン、トロンハイムに次ぐノルウェー第4の街スタヴァンゲル。西海岸フィヨルド南部に位置し、人口は11万人。人々が話すのは2つある公用語ノルウェー語のうちのマイナーなほう
nynorsk。もう一方のデンマーク語ベースのノルウェー語 bokmål に対し、ノルウェー独自の方言をベースとする。 この街からはほかの3都市−首都オスロ、ポップスが盛んなベルゲン、ロックと有名なジャズコースのあるトロンハイム−とは全く異なる個性を持つミュージシャンが出てくる。ジャズではまず Frode Gjerstad。現在のノルウェーとは異なる状況の80年代、フリージャズを演奏する場を求めて長く国外での活動を余儀なくされた彼だが、1970年代終わり〜80年代中ごろまで彼の故郷に1つのジャズクラブがあり、そこには演奏の場があった。そのジャズクラブで育ったのが Paal Nilssen-Love だ(ジャズクラブは彼の両親が経営していた)。Frode Gjerstad が初めてのノルウェー人のみによる自己のトリオを結成した時、メンバーには Paal Nilssen-Love ともう1人スタヴァンゲル出身のベーシスト Øyvind Storesund を加えた。その Øyvind Storesund がレギュラーメンバーのロック/ジャズ/パンク何でもありバンドが Cloroform 。ごった煮という点ではスタヴァンゲル郊外から登場した Kaizers Orchestra もその奇抜なパフォーマンスともども注目される。そしてこの街から登場したシンガーソングライターの Thomas Dybdahl は、3枚のアルバムと The National Bank としての活動などで国内では不動の人気と評価を誇る。 昨年ここの項で紹介した Noxagt もスタヴァンゲル出身だ。ヴィオラ、エレクトリックベース、ドラムによる凶暴なトリオで、その Noxagt のオルタナベーシスト Kjetil Brandsdal が、フリージャズの Frode Gjerstad、それに同じスタヴァンゲル出身の音響/ノイズデュオ Anders Hana (g、彼は最近ヴィオラの Nils Erga に替わって Noxagt に加入) と Morten Olsen (ds、Thomas Dybdahl のバンドのレギュラーメンバーとして知られる) と組んだのがこの Ultralyd 。"lyd" とはノルウェー語で "sound" の意、ultrasound ("超音波")とはなかなか気の利いた名前でなはいか。 その Ultralyd は4人のメンバーのそれぞれの個性をぶつけた音楽性を持つ。オルタナ、ノイズ、フリージャズ、ヘビーメタル…それらをけっして混ぜ込んでしまわず、ざっくりと合わせた音は随分と生々しい。歪んだギターとベースはノイズを孕み、クラリネットが悲鳴を上げ、ドラムはロックでもジャズでも括り切れない過激さで煽る。グルーブも排し、ひたすらハードコアに突き進む。ノイジーではあるけれど、この音でエレクトロニクスのクレジットが全くないことが今時かえって珍しく、そこがこのユニットの個性というかスピリットのようでもある。それから時折挟まれる静かな部分も全く違和感なく、かつそれぞれのプレイヤーの表現がよく出ている。 ファーストとセカンドの間は、クレジットの日付がアメリカ式かヨーロッパ式か微妙だけれど、いずれにしても1ヶ月〜数ヶ月の間に、どちらも1日で録音され、それぞれイギリスのフリージャズのレーベルとアメリカのオルタナ系レーベルからリリースされている。 FMR Records からリリースされたファーストアルバムには、Ultralyd 1〜6 とタイトルされた曲が6曲。1曲目が20分を超える長尺で、他の5トラックは1分半から7分、トータルで44分という構成。やはり20分を一気に聞きとおさせる最初のトラックが圧巻。一方、Load Records からリリースされたセカンドアルバムは2分弱から7分ほどの7曲で構成されており、トータルで34分という比較的コンパクトな作りがちょうどいいくらいのヘビーな音だ。即興演奏という意味でのジャズではあるけれど、その結果としての音には全くジャズの要素はない。それでも、FMR からのファーストのほうがややフリージャズ的であるように感じられ、2枚における音の違いは面白い。ただ、Load Records からリリースされたほうが彼らの音はしかるべきリスナーの耳に届けられるというのは事実だろう。 4人のプレイヤーの中で、最も目立つのはドラマーの Morten Olsen。他の3人が、その音楽の性格上どうしても音がくっつきがちになる中、1人変幻自在にビートを起こしていく。そのラウドな音は相当にロック寄りだが、即興演奏の部分ではインプロヴァイザーとしてのセンスも垣間見せるユニークなドラマーだ。 この2枚のアルバムは傑作というより非常に興味深い試みの一端といった感じで、それぞれのメンバーの活動とともに今後も注目していきたい。 |
![]() Ultralyd "Chromosome Gun" Beautor / Pink Mood / Zooblast / Ejaculatorium / Brown Degree / Glottality / Last Resort Produced by Ultralyd Recorded at Musikkforum 5.8.04 Mastered by Audun Strype 2005; Load Records; LOAD 070 |
|
追記: Ultralyd は2005年秋のツアーから Frode Gjerstad に代わって Kjetil Møster が加入している。
| Frode Gjerstad / Anders Hana / Morten Olsen / Per Zanussi "Born To Collapse" |
|
![]() Born To Collapse Part 1-3 Recorded in concert at Café Sting, Stavanger, on December 27th 2003 by Frode Gjerstad. Mixed by Frode Gjerstad. 2004; Circulasione Totale CTCD 7 |
Frode Gjerstad (as, cl) Anders Hana (el-g) Morten Olsen (ds) Per Zanussi (ac-b, live electronics) 上の Ultralyd とはベーシスト違いのカルテットによるライブ録音で、リリース元は Frode Gjerstad のレーベル。ベーシストが違うだけというより、根本的に発想の違うユニットで、こちらは Ultralyd に比べればよりまっとうなフリージャズと言えるが、Morten Olsen が全くジャズではないドラムを持ち込む場面もあり、ちらりとロックも顔を覗かせる。ダブルベースを弾く Per Zanussi は元 Wibutee のメンバー(録音時は「元」ではなかったが)、live electronics のクレジットがあるが、ギターがエレクトリックである以外はあくまでアコースティックな即興演奏だ。全体として比較的短い音を多用しているため、Ultralyd よりクリアな音像。"Born to collapse part 1-3" とタイトルされた3トラックは 28分半、18分、16分弱と長尺ばかり、即興演奏の部分が多いと思われるが、どことなく映像的な要素を感じさせる雰囲気もある。 |
note about Morten Olsen & Anders Hana.
現在22〜23歳という Morten Olsen と Anders Hana は共にスタヴァンゲル出身、この2人は16歳の時に出会ったとのこと。目下 Morten
Olsen はオランダ・アムステルダム、Anders Hana はオスロをベースに活動。それぞれのプロジェクトは彼らの年齢を考えるとかなり多いが、ここでは上の2ユニット以外で2人がコンビを組むユニットを。
Morthana
Andrew D'Angelo (bcl, sax), Anders Hana (g), Morten Olsen (ds)
"Morthana" (2004; Jazzaway JARCD 008)
"Morthana with Pride" (2005; Doubtmusic; DMF-105)
--- "Morthana with Pride" の Andrew D'Angelo 自身によるライナーノートによると、2001年7月、ノルウェー・モルデで行われたモルデ・ジャズフェスティバルのトイレ(!)で出会い、ジャムセッションで共演したのがきっかけになったというトリオ。(別途紹介予定)
MoHa!
Morten Olsen (ds, electrosticks), Anders Hana (g, electronics)
"Det E Jo Rock For Faen" (Enlightenment)
"Rock; Meg I Rauå!" (Humbug; Humbug057)
--- エレクトロニクスも多用するこのデュオは CD-Rなどで2枚のリリースがあるが、2006年最初に
Rune Grammofon からフルアルバムをリリース予定。
related links.
>> FMR Records
>> Load Records > Ultralyd / Noxagt
>> Frode Gjerstad
>> N-Collective (Morten Olsen & Anders Hana etc.)
>> Noxagt (Kjetil Brandsdal, now with Anders Hana)
>> Per Zanussi
>> Jazzaway Records > Morthana / Morthana @ www.jazzaway.musiconline.no
>> Doubtmusic > Morthana with Pride [jpn] [eng]