(pickup 2001 vol 5 : 14 March 2001)
| Matthew Shipp's New Orbit *** Matthew Shipp (p) Wadada Leo Smith (tp) William Parker (b) Gerald Cleaver (ds) *** "New Orbit"というタイトルに見覚えがあった。同じThirsty Earから出ているMatthew ShippとベースのWilliam Parkerの1999年のデュオ作"DNA"の4曲目の曲が"Orbit"というタイトルだ。この曲はWilliam Parkerの力強いベース(ピッチカート)と、Matthew Shippにより延々繰り返されるフレーズが印象的な曲だ。曲を聴く限り、本作のどの曲とも似ていないが、本作はこの曲の何らかの延長上にあるのだろうか。 さて、収録曲のうち、"Orbit"とつく曲−"New Orbit"、"New Orbit 2 - 4"の4曲はいずれも同じメロディーを持った同一曲だ。アレンジもほとんど変らない。日本風というか、東洋風というか、非常にエキゾチックなメロディーを持つ美しいテーマ。そして4つの"Orbit"は全て違う編成で演奏される。"New Orbit"はカルテットによる演奏、"New Orbit 2 - 4"は順にピアノソロ、ベースソロ、そしてアルバム最後の"4"はピアノとベース(アルコ)。 "Orbit"以外の曲も実に様々な楽器編成が見られる。先の"Orbit"も含めると、編成はこのようになっている。 1. quartet 2. p+ds 3. p 4. quartet 5. b 6. tp+b+ds 7. quartet 8. quartet 9. tp+b 10. p+b つまりこの10曲で7つの編成があるのだが、それは1つのテーマを多角的捉えるための手段として有効的用いられている。 演奏や曲はどちらかというと「静」で、瞑想的ですらある。タイトルも抽象的、象徴的な単語が並ぶ。2つ折りのブックレットの中もたった一言、Matthew Shippの自筆で"Cosmic Consciousness"、とある。 彼はこの、短編映画のような39分10秒のアルバムに何を込めようとしたのだろうか。もちろん、そんなことは考えなくても、これはとても鋭利な美しさに充ちたアルバムなのだけれど。 |
2001 Thirsty Ear Recordings THI 57095.2 *** 1. New Orbit 2. Paradox X 3. Orbit 2 4. Chi 5. Orbit 3 6. U Feature 7. Syntax 8. Maze Hint 9. Paradox Y 10. Orbit 4 *** All compositions published by Matthew Shipp Recorded by Carl Selzer at Selzer Sound, New York - Septermber 14, 2000 Producer: Matthew Shipp Executive Producer: Peter Gordon Art Direction/Design Matthew Shipp, Cynthia Fetty |
| Pastral Composure Matthew Shipp Quartet *** Matthew Shipp (p) Roy Campbell (tp, pocket tp, flh) William Parker (b) Gerald Cleaver (ds) *** いいアルバムだ、と自分で感じるアルバムには、聴いて30秒もしないうちに「これはすごい」と思うものと、何度も聴くうちにその良さがわかるのと2種類ある。 このアルバムは、私にとって前者だ。1曲目の"Gesture"が素晴らしい。ドラムから叩きだされるマーチのようなリズムにのって、相変わらずの低音を響かせるベースと、同じフレーズを繰り返すピアノ(但しその美しさは尋常ではない)、そしてその上に自由にメロディーをのせるトランペット。 その後2曲目にが意外にも4ビートの曲が出てくる。そしてその後はソロピアノによるDuke Ellingtonの"Prelude to a Kiss"。後半で少々ばらばらにして見せるが、比較的メロディーは残っている。 4曲目のタイトルトラック"Pastral Composure"では、らしいといえばらしい曲を演奏するものの、その後の5曲目はまた4ビート。驚くのは6曲目。こんなタイトルの曲だとは初めて知った。どう表現してよいのかわからないが、誰でも知っている童謡みたいなあの曲をフリージャズで演奏してしまうとは。 カルテットによる演奏を1曲挟み、8曲目はベースとトランペットのスリリングなソロ。Matthew Shippは自分のリーダー作でも自分が演奏しない曲を結構収録してしまう人。最後はMatthew Shippのソロピアノ。現代音楽的なソロ演奏だ。 Matthew Shippは色々な引出しを持ったピアニストだ。クラシックや、フリージャズはどのアルバムでも認識できるが、それ以外にもスタンダードやトラッドを取り上げることもある。Matthew Shippの特徴を敢えて挙げるなら、この人のピアノの響き方、なのかもしれない。そしてその響きにはいつも独特の美しさがある。 |
2000 Thirsty Ear Recordings THI 57084.2 *** 1. Gesture 2. Visions 3. Preude to a Kiss 4. Pastral Composure 5. Progression 6. Frère Jaques 7. Merge 8. Inner Order 9. XTU *** All Compositions by Mattehw Shipp except Prelude to a Kiss (Duke Ellington) and Frère Jaques traditional Recordid by Carl Seltzer at Selzer Sound, New York, January 6, 2000 Producer: Matthew Shipp Executive Producer: Peter Gordon Art Direction/Design Matthew Shipp, Cynthia Fetty |