winter 2003

Jaga Jazzist
2003/02/28
@ Blå, Oslo, Norway

Martin Horntveth (ds), Line Horntveth (tu), Lars Horntveth (ts, bcl, g), Lars Wabø (tb), Harald Frøland (g), Andreas Mjøs (vib, per), Even Ormestad (el-b), Andreas Schei (key), Mathias Eick (tp, ac-b), Kjetil Einarsen (fl)

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ツアー中でもアルバムリリース前後でもない Jaga Jazzist が Blå 5周年記念ということでオスロでライブを行った。どこへ行っても会場は満員という彼ら、この日も会場の外まで列ができていて、同じ週に見た Erlend Øye の時の熱気を上回る。席とスタンディングの割合で会場の埋まり具合を調整する Blå 、この日は私が遅く行ったこともあり席があるのかすら全くわからない程の埋まり具合(ライブ後の様子からすると席はほとんどなかった)。

前から2列目くらいのよく見えるところまでもぐりこんでステージをみて驚愕。このさほど広くない、どちらかというと奥行きの割に横幅が狭いこのステージによくもまあこんなに載せたものだとひたすら唖然。ステージ右手前にはキーボードがあり、それはキーボードケースの上にセッティングされている。なんでそんなことをするのか、と一瞬思ったけれど、答えはキーボードの足元にあった。キーボードの左前の脚がステージに載らずに宙に浮いていて、キーボードケースの上に載せているからひっくり返らずにすんでいる、というわけだった。それ以外にも何がどう設置されているのかわからないくらいところ狭しと楽器や機材が並んでいる。

いつもひたすら始まるのが遅い、という印象のこの会場でのライブ、この日は特別に遅かった。待っている途中になぜかステージでスモークがたかれる。そんなにたいたらステージに出てきたメンバーがステージの端が見えずに落ちるぞ、というくらいの濃さ。そうこうしているうちに誰かがステージに上がった。Lars Horntveth だった。ステージ中央の自分の場所とおぼしき狭い空間にしゃがみこみ、テナーサックス、バスクラリネットの調整、続いてギター2本の調整をする。あれは隣の Harald Frøland (g) のものじゃなかったのか、とまた驚く。

10時よりも11時に近くなった頃にようやくメンバーが登場。ステージセットを見てもまるで誰のセットがどこにあるのかわからなかったけれど、ばらばらっとメンバーがステージに散って(狭いからさほど散らないけれど)やっとステージ上がどうなっているのかわかった。前方左に Martin Horntveth (ds) 、その右、ステージの一番前、しかも前方にいるのは Andreas Mjøs (vib)。2列目はドラムの斜め後方に Even Ormestad (b) 、その右に Harald Frøland (g) 、そして真ん中より右よりに Lars Horntveth (sax) 。Lars Horntveth のサックス用のマイクスタンドはヴィブラフォンの上空をかすめている。ステージ右側、一番前は Andreas Schei (key) 、その後方は Lars Wabø (tb) 、伸ばしたトロンボーンの先はキーボードの上から Lars Horntveth の前、つまりヴィブラフォンの横まで達する。その後ろに Line Horntveth (tuba) 。ステージの一番後方、一段高いところの左側に Kjetil Einarsen (fl) 、右側に Mathias Eick (tp)。結構ガタイの大きいメンバーも多く、ステージ上にうじゃうじゃメンバーがいる、といった印象。

演奏は新作 "The Stix" の "Reminder" から始まった。その始まり方が実に鮮やかで、一瞬にして彼らの音楽に引き込まれた。Martin Horntveth のドラムマシーンとドラムの混ざった細かいビートがアルバムで聴く以上に迫力。Martin Horntveth はパワフルなドラマーで、このユニークなグループの素晴らしいリーダーだ。 彼のドラムはバンドの "generator" であり、彼のスティックはまるで指揮棒のようだ。曲が展開するところでメンバー全員が彼のスティックの先を見ている。ステージ上の10人と会場をいっぱいに埋めたファンが同じ音楽で呼吸する、そのあたりが彼らのライブの魅力だ。

それにしても "Animal Chin" も "Day 〜 Another Day" も速い。アルバムバージョンでも十分速いけれど、ライブはさらに前のめりだ。彼らの曲は全てアルバムバージョンから手を加えられていて、ライブバージョンはかなりノリノリ。曲が始まった時は「速いなぁ!」と思うけれど、一瞬にして忘れ去ってしまう。彼らの演奏にはそんなことを考えさせる隙がない。

作曲の面でバンドのメインの Lars "弟" Horntveth は、あの印象に残るバスクラリネットやサックスを始め、ギターを弾いたりと演奏面でも忙しい。"The Stix" では "A Livingroom Hush" よりギターの音が目立つけれど、この音が隣にいるギタリスト Harald Frøland ではなく意外と Lars Horntveth によるものだったりする。

昨年夏、 "The Stix " のノルウェー発売日をもってバンドを離れたもう1人のサックス奏者 Jørgen Munkeby は Lars Horntveth よりも鋭い音の持ち主だったけれど、その彼がいない今、 バンドで一番鋭い音を出しているのはトロンボーンの Lars Wabø だ。ビートに乗って体を動かして演奏したいから絶対に立って演奏するというチューバの Line "姉" Horntveth 、ベースの Even Ormestad とともにバンドの低音を支える彼の位置は、以前よりも「サックスの横」へシフトしたように思える。

新しいメンバー、他のメンバーよりちょっと年上(多分)のフルート奏者 Kjetil Einarsen、それに Lars Horntveth と並んでバンドで最も若い Andreas Schei はよくバンドになじんでいる。比べるべきではないかもしれないけれど、前任の2人、サックス/フルートの Jørgen Munkeby とキーボードの Morten Qvenild が「とてもジャズミュージシャン」なプレイヤーで、一瞬のプレーにインパクトがあり、現メンバーの2人は地味ともいえるけれどむしろバンドの一員として機能している。Andreas Schei はステージ一番前の反対側にいる Martin Horntveth と対をなす位置にいて、2人で音をきちんとコントロールしている。

Jaga Jazzist のサウンドを印象づける大きなパートがヴィブラフォン。Martin Horntveth になぜか背中を向けてヴィブラフォンを叩き、時折手が空いたときにはパーカッションをずんどこやっている Andreas Mjøs は佇まいもノリもクールで残りの9人と全く違うオーラを放っている非常に気になるプレイヤーだ。

一番後ろでトランペットを吹く Mathias Eick は Lars Horntveth と並ぶマルチプレイヤー。トランペット以外にダブルベースも彼の重要なパートだ(彼のお兄さんはベーシストだ)。陽気なキャラクターで、なぜかちゃはは〜と笑っていたかと思えば違う楽器を弾いていたり、いなくなった、と思ったら Andreas Schei のキーボードの横にお邪魔してビールを飲みながらキーボードを弾いていたりする。

ステージは新旧織り交ぜ、いかにも彼ららしい新曲も挟み、"Magazine EP" から "Plym" も演奏し、締めはやっぱり "The Stix" でも2曲対になっている "Day 〜Another Day"。あまりソロパートがどうとか気にならないこのグループの音楽だけれど、"Day" の Mathias Eick によるトランペットソロは素晴らしい。

途中何度か、Martin Honrtveth がマイクを水平に構える独特のスタイルでMCを取っていたけれど、最後のこの曲のあとは Mathias Eick の名前をコールして、いったんステージは終了。一応メンバーは退場したけれど、あまりにぎゅうぎゅうのステージのせいと観客の大歓声もあり、ひっこみ半ばでばらばらとステージに再集結。

アンコールは、Andreas Mjøs のマレットがヴィブラフォンの上を滑るように動いて始まった。アルバム "The Stix" の冒頭、このアルバムの印象を15秒で決定づける強力なフレーズだ。

Jaga Jazzist は、ライブでアレンジを変えてくると言っても、どの曲かわからなくなることはまずない。新曲を除けばこの日のアンコール2曲目は唯一の例外だった。ビッグバンドのジャズのように、アンサンブルの短いフレーズと、Mathias Eick の自由なソロパートを交互に挟んでいく。その後曲は見事に "Made For Radio" に展開していき、その意表をついた演出に驚いたけれど、それにしても Mathias Eick というトランペット奏者は注目すべき存在だ。多分現在 Jaga Jazzist の中で一番の(ひょっとすると唯一の、かもしれない)ジャズミュージシャンらしいプレイヤー。

最後の曲は "I Could Have Killed Him In The Souna" 。不思議な雰囲気を漂わせた前半から鮮やかに展開するこの曲は最後にぴったりな曲。この曲で Mathias Eick(彼の父親はベーシスト兼ヴィブラフォン奏者だ) は今度は Andreas Mjøs にマレットを2本分けてもらって2人でヴィブラフォンを叩く。彼らのノリと、音楽のノリと、彼ら自身がグループとして持つ勢いを感じさせるような、言ってみればイケイケの演奏で、けれどキメるところはぴたりと決める見事な演奏で最後の曲は終わり、あっという間のこの日のステージも終わってしまった。

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ライブの後、Martin Horntveth から突然「幻」のファーストアルバム "Jævla Jazzist Grete Stitz" をもらってしまうというとんでもないおまけがついた。そのファーストアルバムを Lars Horntveth が丁寧に説明してくれたのだけれど、特にジャケット内の12人のメンバー写真を見ながら、彼と彼と…は今でもこのバンドにいて一緒にやってるんだよ、と誇らしげに言っていたのがとても印象に残った。1994年に結成というからもうじき10年にもなる彼ら、ファーストアルバムをリリースしたのは1996年。Lars Horntveth はなんと15才だったそうだ。この大所帯が、多少メンバーの変動があったとはいえこんなに長く活動して、その活動が今や世界規模になろうとしている、というのはやっぱり珍しいケースだ。それが可能なのはこのライブパフォーマンスがあってこそ、なのだと思う。

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set list : Jaga Jazzist @ Blå, on 28 February 2003

1. Reminders [the stix]
2. Animal Chin [a livingroom hush]
3. Suomi Finland [the stix]
4. Jerry Bender [new!]
5. Toxic Dart [the stix]
6. Plym [magazine ep]
7. Day [the stix]
8. Another Day [the stix]

9. Kitty Wú [the stix]
10. Made For Radio [a livingroom hush]
11. I Could Have Killed Him In The Souna [the stix]

(2003/04/23)


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