バルト三国の一番北、エストニアの首都タリン。現在はユーロ圏でバルト海を挟んで向かいはフィンランドのヘルシンキ、1940年から1991年まではソ連の一部、その前はドイツ帝国、ロシア帝国、スウェーデンの支配、そして古くはハンザ都市として栄えた港町、と様々な側面を持つ。

バルト三国、とひとくくりにしたが、他の2国、ラトビアとリトアニアとは異なり、エストニア語はフィンランド語と同じくフィン・ウゴル語族に属し、他のヨーロッパ諸言語とは全く異なる言語のため、何が書かれているのか皆目見当がつかない。

タリンの街並みはハンザ都市そのもの。北ドイツの諸都市と共通する街並みで、初めて見る街なのにさほど違和感がない。しかし、あちこちにロシア正教のタマネギ屋根が見えるのがこの街ならでは。

Toompea (トームペア) はこの写真の一段高い丘の部分で、段差は24m。旧市街地の南西部に位置するこの高台に権力の中枢があったことは一目見て分かる。もちろんそれが狙いなのだろう。

中央右の高い塔を持つ建物は Toomkirik、聖母マリア教会、または単に大聖堂、と称される。1240年にデンマーク人により建立、エストニアで最も古い教会とされ、現在はエストニア・ルーテル教会の中心的存在。

奥の少々地味な円柱形の塔は Pikk Hermann (のっぽのヘルマン) と呼ばれ、Toompea Loss (トームペア城) の端を守っている。塔を含む城は、1219年にこの地を制圧したデンマーク人により建立された。塔は街のランドマークであり、国の象徴でもあるという。

左の特徴的な塔を持つ建物は Aleksander Nevski Katedraal (アレクサンドル・ネフスキー聖堂)、1894〜1900年に帝政ロシアによって建設されたロシア正教の教会。ロシアによる支配の歴史をまざまざと見せつけるもので、エストニア人には嫌われているとの話もある。

トームペアを含むタリン旧市街地は1997年、ユネスコの世界遺産に登録された。

2009-07-08 / Toompea, Tallinn, Estonia (トームペア、エストニア・タリン) / Nikon D300 / 24-70mm F2.8 / F9.0 / 1/100s