ノルウェーの小さな小さな町オップダールには Christian Wallumrød Ensemble のコンサートを聴くために訪れた。この町出身のベーシスト Ingebrigt Håker Flaten に会った時、今度オップダールに行くよ、と言ったら、心底驚かれた。それほど小さな町だ。
ヨーロッパ滞在の最終日程に押し込んだので、125km北にある都市トロンハイムから0泊での強行。夜のコンサートまで時間があり、町を散策してみた。地図に名前もない池を見つけ、遊歩道を辿って行くと、木々にぐるりと囲まれた池が、傾いた秋の陽に照らされ静かに輝いていて、息を飲んだ。
9月下旬のオップダールの気候は?との私の問いに Ingebrigt はちょっと考えて「雪は降らない」と答えてくれたが、その表現がいかに適切かは現地でよく分かった。昼間は天気も良かったので寒くはなかったが、夜になると気温は急激に下がり、コンサート終了後には3度になっていた。
滞在最終日に大好きな音楽を聴き、ミュージシャンや地元の方に混じってコンサート後のパーティーを楽しみ、日付が変わる頃、後ろ髪を引かれる思いでパーティー会場を後にした。去ろうとした時に、ピアニストのChristian Wallumrød が Ingebrigt Håker Flaten の名曲 “Yellow Flower” を弾き始めた。一緒に会場を出てきたドラマーの Per Oddvar Johansen が、あの曲は Ingebrigt の曲で、ここは彼の故郷だからね、と説明してしてくれた。遡ること17年前、この曲を演奏していたのはこの3人なのだ、と色々な思いが頭をよぎった。
オップダールはトロンハイムとオスロを結ぶ鉄道や幹線道路の途中にあり、通常は両都市を結ぶ夜行列車が双方向から運行しているが、土曜のこの日のみ運休。時刻表を見たときは頭を抱えたが、夜行バスのルートもあることが分かり一安心。トロンハイムからの朝一の飛行機では帰国便に間に合わないので、夜行バスを利用してオスロ空港まで移動、オスロからヘルシンキ経由で月曜の朝に暑い大阪に帰着。土曜からのことが夢の中のことのように感じられた。
2013-09-21 / Oppdal, Norway (ノルウェー・オップダール) / Ricoh GR / 18.3mm / F6.3 / 1/250s